「面接」は緊張しますよね。しかし、何度も経験している人は結構慣れてくるようです。なぜなら、色々な業種の会社に行くわけではなく、歯科医院という決まった場所の面接だからです。聞かれることもほぼ同じようなことなので、ポイントをしっかり押さえておけば落ち着いて「面接」に挑むことが出来るでしょう。
「面接」ってどこからどこまでだと思いますか?面接は着席してから、退出するまでだと考えていませんか?実は「採用・不採用」は会った瞬間の3~5秒で決まるとも言われています。
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「メラビアンの法則」って何?
「メラビアンの法則」ってご存知ですか? これは、人の第一印象は初めて会った時の3~5秒で決まり、またその情報のほとんどを「視覚情報」から得ているという概念です。
初対面の人を認識する割合
「見た目・情報・しぐさ・視線等」の視覚情報 | 55% |
「声の質・話す速さ・声の大きさ・口調等」の聴覚情報 | 38% |
「言葉そのものの意味・話の内容等」の言語情報 | 7% |
という事は、初めて会った瞬間に「採用・不採用」が半分くらい決まってしまうという事です。 そしてあなたが喋り出した段階でほぼ結果は出ているという事です。改めて文章にすると驚きますが、日常でも ほとんどの人が視覚情報を重視しているのではないでしょうか。
仕事を探すときに、歯科医院のホームページでスタッフ写真を穴があくほど見ているという衛生士さんがおられました。 「この人はきつそう・・・」「この人は優しそう・・・」「この人はお局様だな」というように顔だけで判断をしているそうです。 これもある意味「視覚情報」ですね。韓国の女性は、就職試験のために整形手術をするというのも納得がいきますね。
「視覚情報」とは?
リクルートスーツ
「視覚情報」は服装、髪型など「身だしなみ」がこれにあたります。まずはリクルートスーツまたは、これに準ずる服装をご用意下さい。若い方は比較的スーツを着用されるのですが、ベテランの方ほど持ち合わせがないという事でスーツを着用されない方が多いです。ひどいときはお買い物に行くような服装で来られる方も少なくないのが現状です。せっかく時間を取って、面接に行くのですから、目的は採用されること。それであればこんな基本的な部分ですべての時間を台無しにするのは勿体ないです。リクルートスーツまたはこれに準ずる服装で面接には行きましょう。
スーツというのは、日常の服装以上に手入れ感が非常に目立ちます。スーツを着ていたにもかかわらず、「服装がなんかヨレッとしていた」という感想を院長から言われることが多いです。リクルートスーツを着ていたのに何で?と思われる方は「お手入れ」が出来ているか、ちゃんとした「着方」をしているかチェックしてみましょう。
シャツの襟もとがヨレッとしていませんか?
ジャケットからだらしなくシャツが出ていませんか?
スーツが皺になっていませんか?
靴が汚れていませんか?
服装のだらしなさは、人間性もだらしないと思われます。たったこれだけのことで面接がダメになってしまうのは非常に勿体ない話です。必ず面接に行く前に確認しましょう。
冬の面接時、コートを着たまま入っていく人が意外にもたくさんおられます。 これが正しくないことはよく理解されていると思うのですが、理由はコートを脱ぐタイミングがなかったということです。 緊張した気分のまま歯科医院の扉を入ってしまい、慌てて受付の方に面接に来たことを伝えると、そのまま案内をされ狭い面接室に通されるという状況が歯科医院ではよくあります。 そしてふっと気が付くとコートを着たまま面接を受けていたという最悪の状況に陥るのです。 必ず歯科医院の扉を開く前にコートを脱いで一呼吸して入るようにしましょう。
ネイルとヘアーカラー
基本的にネイルと茶髪はNGです。ヘアーカラーは色々と問題になることが多いのですが、最近では黒髪でないとダメという厳しい医院は少なくなってきたように思います。
「医療人として、患者さんに不快感を与えない」 このように定義付けされている医院が多いように感じます。私もよく、「この髪の毛の色は明るすぎますか?」と聞かれるのですが、大変感覚的な部分であるため難しい問題です。「茶髪、グレー、陽があたるとピンクに見える」こういったカラーはNGです。もし微妙な部分で気になる場合は髪を束ねていかれるのも一つの手かもしれません。
コンサルタントの経験談なのですが、通常面談の時は髪を束ねて、とても楚々とした理知的な人に思えたのに、面接の時には髪をおろして巻き髪にされている方がおられました。なんだか今日は華やかだなと私も驚いてしまったのですが、おそらく気合を入れすぎたのだと思います。面接はパーティーではありません、「医療人」にふさわしいナチュラルで理知的なイメージで臨みましょう。
面接の際のネイルはNGです。最近では、ナチュラルカラーであればOKと言う条件の医院もちらほら出ているようですが、面接の段階ではおススメしません。「ネイルをしていたので、不採用」という話はありましたが、「ネイルをしていなかったので、不採用」という話はいまだかつて聞いたことがありません。「採用」されたくて面接にいくのですから、わざわざ不採用になる可能性があることはやめておくべきです。
「聴覚情報」とは?
「視覚情報」の次に面接を左右するのは「聴覚情報」です。 聴覚情報というのは「声の質・話す速さ・声の大きさ・口調」などのことですが、相手を好きになったり嫌いになったりするのは、自分の意識しないうちに声の好き嫌いが大きく関連しており、性格の相性そのものだとも言われています。 また、声にはその人の性格が表れます。
声で「性格」ってわかるの?
高低差の激しいキーキー声で話す人 | 感情的になりやすい、自己中心的な人 |
声に芯がなく、か細い声の人 | 気が弱い人 |
かすれ声の人 | 非常に頑固で自分をも抑圧する人 |
相手によって声が変わる人 | コンプレックスが強い人 |
如何でしょうか? 何となくうなずけます。中国には、声を聞いて健康状態などを把握する「声相」というものがあるほど、声質と心身の状態は密接な関係にあるともいわれています。 無意識に発している声で、これまでどんな人生を送ってきたのか、今どんな状態にあるのかを判断されるのは少し怖いですね。
ボソボソボソボソ・・・不採用!
視覚情報と同様、聴覚情報は、多くの人が無意識のうちに、良い悪いを分けているはずです。
一般的に「暗い声」を出す人はNGです。歯科衛生士の業務は何よりも患者さんとコミュニケーションをとる必要があります、ボソボソと小さく暗い声は患者さんに理解してもらう事も出来ないですし、不快な気分にさせてしまいます。まずは相手の目をみてハキハキと大きな声で喋るように気をつけましょう。
「コミュニケーション」は面接で一番重要視しているところだと言っても過言ではないでしょう。仕事のスキルは練習によって伸ばすことができますが、「コミュニケーション」は採用・不採用の鍵となります。
「彼女は患者さんに説明したり、コミュニケーション取ることができないでしょう」という理由で不採用になることが一番多いように思います。
面接の時にボソボソと喋っていた人が、患者さんと明るく元気に喋れるということは絶対ありえません。いくら緊張していたとしても、ボソボソ小さい声で面接を受けた段階で、患者さんに対してもこのように喋るのだろうなと判断されて「不採用」になると思って間違いないでしょう。
喋り方に「癖」がある人も要注意です。「はい、はい、はい」と何度も同じ言葉を繰り返したり、人の話に被せるように言葉を挟んだり、耳障りな喋り方をする人もおられます。喋り方の癖は面接の場で直せるものではありません。日頃から綺麗な喋り方が出来るように心がけましょう。
早口も要注意
声の大きさと同じくらい聞き取りにくいのは話すスピードの速い人です。比較的お話好きの方ほどスピードも速いように思います。すごいスピードでまくしたてるように話をされても結局何を言っているのかわからないという事になります。日頃から少し早口の人は、面接で緊張するとよりスピードアップしてしまいますので、意識してゆっくり話してください。
自信のないことを答えるときは、早く終わらせたいという深層心理が働きどうしても早口になりがちです。これを解消するのは「練習」が一番。歯科医院での面接は、だいたい同じようなことを聞かれます。こういう質問をされたら、このように回答しようと練習をしておけば焦ることもなく、早口になることもありません。本当に伝えたいことを「一言」で表現できるよう、1分でまとめる、3分でまとめる、といった練習を実際声を出してしておくと余裕をもって面接に臨めるでしょう。下調べをしてしっかりと準備しておかないと思わぬところに普段の癖が出てしまいます。
「言語情報」とは?
「言語情報」とは、実際の話の内容になります。100%のうち7%というのは大変低い数値です。要するに、あなたがこれまでにどれだけの実績を上げてきたか、どういう仕事をしてきたかという事を一生懸命話したとしても、その内容は、あなたが思っているほど重視されていないという事になります。
「視覚情報」「聴覚情報」が素晴らしく、ほぼこの人は「採用」決定だなと思われていたとしても、残りの7%でひっくり返されることがあるとすれば、それは人の「悪口」です。以前勤務していた歯科医院の悪口を言う人がいます、これは絶対にNGです。
面接をしていた院長も「へ~、そうだったの、大変だったね」と同調してくれ、どんどん加速して悪口を言う人がいます。こういう人は確実に「不採用」です。転職のたびに前職場の悪口を繰り返している人なんだなと評価されるだけです。退職理由などを聞かれることも多いですが、絶対に前職場の悪口は言わないように気をつけて下さい。
歯科業界は狭いですので、院長同士が友達という事も多いです。実際に前職場の院長に問い合わせをした院長もおられました。「立つ鳥跡を濁さず」という諺がありますが、退職する時にも綺麗に辞めることが、これからのためだと思っておいた方がいいでしょう。
あなたの後ろにスタッフが歩いていませんか?
これで面接が終了しました。挨拶をして医院を出た瞬間にホッと安堵することでしょう。 ここで一番気をつけなければいけないこと、それはスマホです! 歯科医院を出てすぐにスマホを出して、今の面接の内容を友人に報告する人がいます。 医院が入っているビルのエレベーターはもちろんですが、せめて最寄り駅に到着するまでは緊張感を持続させておきましょう。
お昼休憩などに面接を行う場合が多いのですが、面接を終わって駅に行く道は、お昼休憩で出歩いているスタッフが一杯います。 あなたはスタッフの顔を知らないでしょうが、スタッフはさっき面接に来たあなたの顔をしっかり覚えているものです。 後ろにスタッフが歩いている可能性もありますので、面接の内容や、院長の印象、悪口などは決して言わないようにしましょう。
カメラがあなたを狙っている
注意と言えばもう一つ、最近は防犯カメラが日常的に使われるようになりました。 歯科医院でも患者さんとのトラブル回避のため、院内にカメラをつけているところが増えています。 もちろん求職者も要注意!
以前、廊下のような広い場所で、私と衛生士さんが椅子に座って待機していたのですが、その様子を見られていたという事がありました。カメラをつけているので、待機中の様子を見させて頂きましたと後ではっきり院長から報告を受けたのですが、 私もあとでヒヤ~としたのを覚えています。 院内に入ったら、どこから見られているかわからないという気持ちで緊張しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 面接は着席してから退出するまでではありません。その前から始まっており、最後は駅のあたりまで続いていると思って臨みましょう。せっかく時間を使って面接に行くのですから、出来ることはすべて整えて、「採用」してもらえるよう、最善を尽くしましょう。