歯科衛生士コラム

歯科衛生士 スキルアップのための資格

歯科衛生士 スキルアップのための資格

審美歯科、矯正歯科など歯科医院もより専門性を求められるようになってきました。又これまでは歯科医師の診療補助的な役割でしかなかった歯科衛生士も、 確固たる地位のある職業として認められるようになってきたと同時に、日々進歩する歯科業界の中で、歯科医師の専門性についていけるよう、より自己研鑽が必要となってきました。 国家資格を得たらそれで終わりではなく、最新の知識、技術を学び続ける姿勢が必要です。資格取得を目指し努力する姿勢がより仕事の充実にもつながるでしょう。

認定歯科衛生士にはどういうものがあるの?

「認定歯科衛生士」とは、特定の専門分野において高度な知識と技術を身につけたと認められた歯科衛生士のことです。 主に以下のような専門認定歯科衛生士制度が存在しています。

  • 日本歯周病学会認定歯科衛生士(日本歯周病学会)
  • インプラント専門歯科衛生士(日本口腔インプラント学会)
  • 日本成人矯正歯科学会矯正歯科衛生士(日本成人矯正歯科学会)
  • 日本小児歯科学会認定歯科衛生士(日本小児歯科学会)

「認定歯科衛生士」になるには、ただ研修を受ければ良いだけではありませんし、衛生士の経験年数が長くなれば取れるわけでもありません。それぞれの症例に対する経験を積み上げ、事例を残す必要があります。そのためには必要な症例を持った患者さんが集まる医院でなくては不可能となります。院長がその道の専門医であれば症例数も多いでしょうし、また院長の支援も受けられるはずです。時間も努力も相当必要となる資格ですが、「認定歯科衛生士」になれば活躍の場はぐんと広がります。

日本歯周病学会認定歯科衛生士

歯周病は、歯肉やその中にある骨など歯を支えている組織(歯周組織といいます)が破壊されていく病気で、全身疾患の原因になると言われています。この病気の原因は歯の汚れ、すなわち”デンタルプラーク“と言われており、歯周病の予防・治療を行うことで、全身の様々な病気のリスクを下げることが可能といわれています。日々の歯磨き・口腔ケアを見直すことが重要で国民の健康は歯科衛生士の腕にかかっていると言っても過言ではないでしょう。

日本歯周病学会の認定歯科衛生士制度は平成17年に発足し、平成30年4月1日までに1,090名の認定歯科衛生士が誕生しています。  「歯周治療および予防を通し、歯科衛生士の専門的知識と技術を確保するとともに、歯周病学の発展及び向上を図り、もって国民の口腔保健の増進に貢献することを目的」としています。歯科衛生士の認定資格で一番取得に時間がかかり、難易度が高いと言われています。

日本歯周病学会認定歯科衛生士になるには・・・

「日本歯周病学会認定衛生士」になるためには以下のような要件が必要となります。

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  1. 歯科衛生士資格を有する者。
  2. 通算5年以上の歯周病学に関する研修と臨床経験を有する者またはこれと同等以上の経験を有すると認められた者。症例の提出が義務付けられているため、通常は同一クリニックで5年以上の就業が好ましいと言われています。)
  3. 日本歯周病学会が認定する研修に参加し、申請時に30単位以上を有する者(歯周病専門医のクリニックに就業している歯科衛生士は、そうでない衛生士よりも単位の取得が容易です。)
  4. 申請時に日本歯周病学会の会員である事。

上記の条件を全て満たした上で、最後の難関ケースプレゼンテーションがあります。

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かなりの難関資格だといえます。歯周病専門医の先生のところで勤務して症例を集めることをお薦めします。

インプラント専門歯科衛生士

日本口腔インプラント学会によって認定される資格であり、インプラント治療を専門に扱い、 知識や経験がある歯科衛生士のスペシャリストとして、2007年に設立されました。口腔インプラント治療介助及びそのメインテナンスを通し、 歯科衛生士の口腔インプラントに対する専門的知識と技術を確保するとともに、 口腔インプラント学の発展及び向上を図り、もって国民の口腔保健の増進に貢献することを目的としています。

インプラント専門歯科衛生士になるには・・・

「インプラント専門歯科衛生士」になるためには以下のような要件が必要となります。

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  1. 歯科衛生士の資格を有していること。
  2. 2年以上「日本口腔インプラント学会」の正会員であること。
  3. 3年以上インプラント治療に携わっていること。
  4. 上部構造装着後 2 年以上経過した症例のインプラント治療介助又はメインテナンスを行った経験が 3 例以上あること。
  5. 学術大会及び支部学術大会に各1回以上参加をしていること。インプラント専門歯科衛生士講座を2回以上受講していること。
  6. 口腔インプラント専門医1名の推薦があること。

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最近はどこの歯科医院も診療科目の中に「インプラント」と記載しているところがほとんどです。しかし実際どのくらいの症例があるかはわかりづらいです。最後の要件として、「口腔インプラント専門医の推薦」とありますので、かなり専門的にインプラントを行っている医院で勤務する方が良いかと思います。

日本成人矯正歯科学会矯正歯科衛生士(2級)

日本成人矯正歯科学会が主宰している矯正歯科臨床における知識や技術、豊富な経験を認定する歯科衛生士の認定資格です。 この認定資格は、審査により認定されます。なお、認定矯正歯科衛生士は、経験年数や知識等により1級と2級に分類されています。 1級の取得には認定矯正歯科衛生士2級を持っている事が必須条件になりますので、まずは2級の取得からという事になります。

日本成人矯正歯科学会矯正歯科衛生士になるには・・・

「日本成人矯正歯科学会矯正歯科衛生士(2級)」になるためには以下のような要件が必要となります。

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  1. 日本成人矯正歯科学会の会員であること。
  2. 学会等に参加していること。
  3. 学会の認める矯正歯科専門医療機関や大学病院矯正歯科等にて、常勤で3年以上矯正歯科臨床に携わっている(または、矯正歯科臨床も行う医療機関にて同等の経験を有する)こと。

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矯正の歯科衛生士はかなり専門的になります。以前担当した衛生士さんは矯正歯科医院でかなり長年勤務をされ、矯正に関してはほぼ熟知されていたのですが、新卒の時から矯正に携わっていたため、一般的な衛生士業務の経験がないという事で、転職の際には給与も待遇も新卒レベルになってしまいました。このように、矯正の衛生士スキルはかなり貴重ではあるのですが、一般的な衛生士業務とはかけ離れてしまう事を心しておいた方が良いかもしれません。

 

日本小児歯科学会認定歯科衛生士

小児歯科医療そして小児歯科保健の実践には、小児歯科領域の高いスキルをもった歯科衛生士との協働が不可欠です。日本小児歯科学会では、2007年より認定歯科衛生士制度をスタートさせ、歯科衛生士の小児歯科についての技術や知識があることを日本小児歯科学会(歯科衛生士委員会)が審査し、一定のレベルにあることを学会として認定するものです。

日本小児歯科学会認定歯科衛生士なるには・・・

「日本小児歯科学会認定歯科衛生士」になるためには以下のような要件が必要となります。

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  1. 歯科衛生士の免許証を有すること。
  2. 通年 5 年以上の小児歯科学に関する研修と臨床経験を有する者またはこれと同等以上の経験を有すると認められるもの。
  3. 認定歯科衛生士の認定申請時において、1 年以上引き続いて学会会員であること。
  4. 学会(全国大会、地方会大会)へ 1 回以上出席していること。
  5. 認定歯科衛生士申請時に教育研修単位 30 単位以上を有するもの。

 

如何でしょうか? 他にも、「審美」や「ホワイトニング」などを極めていく道もあります。要件を見て頂けばわかるように、かなり専門性の高い資格となりますので、それに適した歯科医院に勤務する必要があります。もし目指すスキルがあるのであれば、現在の職場が適しているのかどうかという見極めも必要となります。

どういった医院を選べばいいのかということですが、

・ 院長がその道の専門医である

・ 勤務している衛生士がその資格を有している

この辺りをチェックするところから始めてみては如何でしょうか。学べる環境や、サポート体制があるかなどが重要となってきます。

まとめ

いくつかご紹介してみました。これらの認定衛生士はただ単に勉強をして取得できるものではありません。学会の会員であることや、学会での発表などを経験する必要が出てきます。症例などもかなり集めなくてはいけないため、やはりその道に特化した院長のもとで勤務する方が取得しやすいでしょう。かなりハードルは高いですが、衛生士としてのキャリアアップにつながります。目標をもって頑張ってみませんか?

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