
あなたは、ご自身の給与が相場なのかご存知ですか? 経験もあるのに、こんなお給料では少なすぎるだろうと不満を持っていませんか? 歯科医師は経験年数で給与が高くなるわけではありません。セミナーに参加してスキルアップをしていても、結果的に成果がすべてです。これを読んで、あなたの給与が相場と合っているかどうかを考えてみて下さい。
目次
売上に対する給与総額の割合(業種別)
「会社全体の売上に対する給与総額の割合」は一般的に以下のような割合になります。
小売業・製造業・サービス業 ・・・ 10~30%
IT業界・コンサル・専門職系 ・・・ 30~50%
- 仕入れや材料費がかかる
- 店舗や工場の維持費、物流コストなどの固定費が大きい
- 価格競争が激しい
このような理由から、利益率が低くなる傾向があるため、売上が高くても給与に回せる割合が小さくなりやすいと言えます。そのため一般的に、売上に対して人件費は「10~30%」と言われています。
これと比較して、
- 仕入れがほぼ不要
- 高付加価値サービス
- 労働集約型
これらの業種は、主に知識や技術を提供するビジネスモデルのため、物理的な仕入れがほとんど必要なく、その分、人件費に回せる割合が大きくなります。そのため一般的に、売上に対して人件費は「30~50%」と言われています。
売上に対する給与総額の割合(歯科医院)
では、歯科医院では人件費の割合はどのくらいなのでしょうか?
歯科医院も 「専門職系」 に近い業種ですが、技工料・材料費・設備投資が発生するため、完全にITやコンサルほどの給与割合(30~50%)にはなりにくいと言えます。
一般的には 歯科医院における人件費は、「20~40%」 くらいの範囲に収まることが多いでしょう。
特に勤務医の場合は、「売上の20~30%程度」が目安となるでしょう。
例えば・・・
月300万円の診療売上を上げる場合、給与は60万円~90万円程度
月500万円の診療売上を上げる場合、給与は100万~150万円程度
という計算になります。
自分の月の売上ってどのくらいなんだろう?
歯科医院で保険診療のみの場合、「患者1人あたりの平均点数は、おおよそ400~600点程度」 になることが多いです(1点=10円なので、4,000~6,000円)。
30分に1人の患者さんを診る場合
1日8時間 16名の患者さんを診ることになります
1人 4000円~6000円で計算すると
1日 64000円~96000円
1ヵ月(22日)1,408,000円~2,112,000円
これだと「売上の20~30%程度」がお給料だとしたら
1ヵ月の売り上げが1,500,000円だとしたら、
(20%の場合)300,000円
(30%の場合)450,000円
1ヵ月の売り上げが2,000,000円だとしたら、
(20%の場合)400,000円
(30%の場合)600,000円
おおよそ以上のような給与が予測されます。医院によってどれくらいの人件費率を設定されているかわかりませんが、一つの目安として頭においておかれることをお勧めします。
自費を増やすか、診療スピードを上げればもっと収益アップが可能ということです。
もちろん、歯科医師の技術だけではありません、医院の立地などにより患者層の違いもあります。
CR充填(虫歯治療) 500~700点
根管治療 800~1,500点
抜歯 500~1,200点
義歯調整・修理 400~800点
高齢者が多い → 義歯や歯周病治療が増え、点数が高くなりやすい
若年層が多い → 充填や予防処置が中心で点数が低めになる
そのため、一般の歯科医院よりも、小児歯科の場合は歯科医師の給与が比較的低めになってしまうのは、こういった理由もあります。すべてがそうというわけではありませんので、参考程度にして下さい。
面接で、「どのくらいの点数をあげておられましたか?」「チェアタイムはどのくらいですか?」と質問されたことがある人は多いでしょう。この質問の答えからおおよそあなたのお給料を頭の中で算出されているのです。
「チェアタイムは15分~20分で診ています」「2列平行で治療してました」「自費治療をすることが多いです」このような回答があなたの口から出てきたら、「点数が高くなる=給与も高くなる」ということです。
歩合ってどのくらい?
歯科医師の給与で、「プラス歩合」と言われることがよくあります。では歩合はどのくらいなのでしょうか?
一般的に 保険の歩合は20% 自費の歩合は23~25%程度が多いようです。
ではこの違いは具体的にどこから出てきているのでしょうか?
保険診療の歩合が20%と低めなのは、
- 保険診療では、保険点数に応じた報酬が決まっており、治療費が低く抑えられています。そのため、技工料や材料費、診療所の運営費を差し引くと、歯科医師の報酬として確保できる割合が低くなります。
- 自由な価格設定ができないため、売上に占める人件費の割合が制限されやすいです。
自費診療の歩合が23~25%と高めなのは、
- 自費診療では自由に価格を設定できるため、保険診療よりも1件あたりの収益が高くなります。
- 利益率が高い。例えば、セラミック治療やインプラントでは高額な材料費がかかるものの、それを上回る価格設定が可能なため、給与の割合も高くできます。
- 高度な技術を提供する治療は、歯科医師のスキルに依存するため、給与率も高めに設定される傾向があります。
つまり、「仕入れが多いと給与率は低く、付加価値が高いと給与率が高くなる」 という「売上に対する給与総額の割合(業種別)」の法則が、歯科業界の「歩合」にも当てはまっています。
歯科医院の売上に対する経費内訳 目安
医院経営は以下のような割合でおおよそ成り立っています。

家賃・光熱費・設備投資などは動かし難いものですし、材料費も治療をしていく上で減らしにくいものと言えます。そういった意味でも、人件費が一番見直しの対象となるでしょう。人件費が50%を超えると経営が厳しくなります。その場合、無駄な人員配置がないか見直しが必要となります。
え、歯科助手の給与も?
歯科衛生士は自身で売り上げを作りますが、歯科助手は自身で売り上げを作ることが出来ません。あくまでも歯科医師のアシスト業務という立ち位置ですので、もし一人の歯科医師に一人の歯科助手がついているとしたら、その人件費も歯科医師の売り上げに関係しているということです。
歯科助手1人の給与:20~30万円/月(年間約300万円)
助手1人の人件費を賄うのに必要な売上(人件費率30%想定) :100万円/月
つまり、歯科医師が+100万円/月の売上を増やすと、助手1人分の給与をカバーできるということです。
売上と給与の関係
如何でしたでしょうか? 給与と売り上げの関係が少しご理解いただけましたでしょうか?
「経験10年以上だから希望給与 ○○万円です」
「じっくり丁寧に治療したいので、チェアタイムはしっかり取りたいです」
「歯科助手さんにはしっかりついてもらいたいです」
「短時間勤務を希望しますが、時給〇〇〇〇円は欲しいです」
「ノルマがあるところは嫌です」
転職活動の際にこのような希望を言われる方は多いです。しかし、歯科医院の経営的観点とあなたの希望給与に大きなズレがあったとしたら、それが採用に至らない理由かもしれません。
逆に言えば、これまでのご自身の売り上げ数字をしっかり明示した上で、これだけの給与を希望しますというアピールが出来れば、採用される可能性は高くなります。
「自分がどれだけの売り上げを上げているか、わからない」というのは新卒の場合のみ許されますが、経験を積んでの転職であればこのあたりの経営観念が身についていないと不採用になる可能性も高くなります。
逆に、これだけ売り上げを上げているのに、お給料が少ないと不満のある方は、根拠を持って転職すれば、給与アップの転職が出来るかもしれません。

まとめ
今回は、あまり知られていない売り上げと給与の関係についてお話をしました。歯科医師は年功序列ではありません。実力に応じて年収をアップさせることは可能です。際限なく頑張りが評価される職業です。

