歯科医師コラム

歯科医師  勤務期間の縛りについて

歯科医師を募集している歯科医院はたくさんあります。しかしながら、転職先をご紹介するのに大変難しいケースがあります。それは「期間限定」希望です。期間限定って何だと思われますか?例えば、「半年後には開業を考えているので、半年だけ働きたい」といった希望や「3年後には父親の歯科医院に戻りたい」といった希望です。

開業まで半年だけ働きたい

なぜ開業まで勤務せずに、半年前に辞めてしまうのかと思われる方も多いでしょうが、結構こういう方は多いです。どうしても仕事をしていると開業準備ができないからという理由のようです。たしかに開業前は色々と業者との打ち合わせなども多いため、がっつり常勤で働いている人はとてもハードになってしまう人も多いようです。

状況を説明して非常勤に変えてもらうなど、少しづつフェードアウト出来たら一番ベストなのでしょうが、そうもいかない場合も多く、半年前に辞める羽目になる場合も多いようです。

半年だけの勤務先を探すのは大変困難ではありますが、救いは開業するだけのスキルが身についているという事です。そのため即戦力で働いてもらえるならば、今現在困っているから少しの間だけでも来て下さいという歯科医院は探せばあります。

新卒(研修医明け)で3年後には父親の歯科医院へ

最近、新卒の方(研修医明け)でこのような希望をされる方が非常に多いです。本来、若い新卒採用はどこの歯科医院も喉から手が出るほどほしいところなのですが、こういう希望がついてくると躊躇する歯科医院が増えてしまいます。

昔、日本には、「丁稚奉公」とも呼ばれた『徒弟制度』がありました。親方や師匠などと呼ばれる使用者から直接技術を教わる学習制度で、料理人や手工業の世界では広く行われていました。

「仕事を覚えるため」「腕を磨くため」という名目があれば、早朝から深夜まで、薄給での仕事をさせてよいと言った風潮がありましたが、現在は労働基準法第69条で『使用者は、徒弟、見習、養成工その他名称の如何を問わず、技能の習得を目的とする者であることを理由として、労働者を酷使してはならない』と定められています。

歯科医院にも少なからず数年前までこの風潮が残っており、新卒(研修医明け)の歯科医師のお給料はかなり抑えられていましたが、労働基準法などが厳しくなったこともあり、一定のお給料や雇用条件での採用が普通になりました。しかしながら歯科医師の免許を取得したからと言って、すぐにバリバリ歯科医師として働けるものではありませんので、教育する先輩歯科医師にも負担をかけますし、一人前の仕事がまだできない人にお給料を支払うという医院にとってはかなり負担になる状況を強いられています。将来しっかり育ってくれて歯科医院の戦力になってもらえるという事を期待して歯科医院側も負担を担うのですが、そこがこの「3年」という区切りになってきます。

だいたい歯科医師として一人前になり、医院に貢献してくれるように成長したというのが3年です。そのため歯科医院としては3年で退職されるというのは本意ではありません。

そのため「5年は働いて下さい」という縛りを設けている歯科医院が最近は増えているのでしょう。

5年縛り

「5年縛り」の理由を以上からご理解頂けましたでしょうか? 「3年間教えて下さい」という、一見謙虚に聞こえるこのフレーズは雇用する側の医院にとってはダメージが大きいという事です。「丁寧に対応しているのに不採用ばかりだ・・・」と悩んでいる先生、もしかしたらこの辺りに原因があるのかもしれないですね。

 

歯科医師のキャリアアップには「転職」はつきものです。最終的に開業を考えておられる方は今からどのように「転職」をしてキャリアアップ、「開業」までたどり着くのかある程度プランを立てておかれるのがいいかもしれません。

とはいえ、人生は思うようにはいかないことも多いでしょう。3年で辞めるつもりだったけど、とても自分にマッチした医院で学べることも多かったので、開業までの10年ずっと勤務しましたという事もあるでしょう。

3年で辞めたいと言った時に、「5年は働くって約束だったから採用したのに」と揉めることを恐れて3年の許可を取ろうとしている先生は多いです。保守的な考え方かもしれません。しかしそのことにとらわれ過ぎて自分に合った職場を逃している可能性もあります。

 

以前、担当した先生が、3年でお父様の歯科医院に戻るという絶対条件がありました。大変良い先生だったのですが、以上のような理由から、やはり5年は働いてもらいたいという医院が多く、いくつも「不採用」になってしまいました。

結局、採用になったのですが、結局1年も持たずして退職する形になってしまいました。もちろん色々な理由があったのですが、これも一つの「縁」なので、もしかしたら、不採用になった歯科医院であれば、このような結果にならなかった可能性もあります。

あまりにも「3年」にこだわり過ぎたことによって、大切な「縁」を失う可能性もあるという事です。

円満退職

縁あって勤務した歯科医院とは最終的に「円満退職」したいものです。自分自身が先輩から教えてもらい学ばせてもらったのであれば、自分も後輩を育てる良き先輩になるべきですし、未熟な自分でも毎月お給料をもらいながら育ててもらったのであれば、医院の戦力になってしっかりお返しをし、「円満退職」しましょう。

この気持ちが根底にあれば、最初から「3年」や「5年」と主張する部分ではないと思います。自己主張をし過ぎることによって、大切な部分が見えなくなっては意味がありません。

自分にとってどこの歯科医院があっているのか、どこの歯科医院で歯科医師として成長したいのかだけを考えて面接に臨みましょう。

勤務期間の縛りについてQ&A

期間限定で働ける歯科医院を探すのは難しいですか?

期間限定で働く医院を探すのは困難ですが、即戦力として働いてもらえるならば採用する歯科医院も存在します。期間限定というのは、開業までの半年だけという場合が多いのですが、開業できるだけのスキルを持っているという事になるので、不可能ではないと思います。

最近は歯科医師の採用に5年縛りが増えている理由は何ですか?

歯科医院側は、新卒の歯科医師に長期間勤務してもらい、成長してもらいたいと考えています。5年以上勤務してもらうことで、医院にとっての負担が少なくなります。

歯科医師のキャリアアップには転職が必要ですか?

歯科医師のキャリアアップには転職も一つの手段です。将来の開業を考えている場合は、転職を通じてキャリアを積み重ねることで開業に近づくことができます。

3年で辞めることにこだわり過ぎると、どんな結果になる可能性がありますか?

3年で辞めることにこだわり過ぎると、自分に合った職場を見逃す可能性があります。大切な縁を失うこともあるため、自己主張に固執しすぎず、将来の成長や環境に焦点を当てて考えるべきです。

歯科医師として勤務する際には、最終的にはどのような退職の仕方が一番良いでしょうか?

歯科医師として勤務した歯科医院とは円満に退職することが理想です。先輩から学んだ知識や経験を後輩に伝える良き先輩となり、医院の戦力になった分をしっかりとお返しすることが重要です。自己主張よりもお互いの成長と円満な関係を重視しましょう。

まとめ

最近は「5年縛り」の歯科医院が増えています。その理由をしっかり理解した上で面接に臨まれることをお勧めします。「3年間だけ教えてほしい」という自己主張にとらわれ過ぎて本質を見失う事のないようにしましょう。

 

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