歯科衛生士コラム

歯科衛生士 「休み」について知りたい!

歯科衛生士「休み」について知りたい!

条件面でちょっとした違いを見逃したり、勝手に思い込んだりしていると勤務を始めてから「えー!」というようなことが起こります。よくある違いをあげてみました。もし求人情報にしっかり記載されていなかったり、説明してもらえなかったら確認してみた方が良いかもしれません。

「完全週休2日制」と「週休2日制」の違い

「完全週休2日制」「週休2日制」と記載されていますが、「完全」という文字がつくかつかないかで大きな違いがあるのを知っていますか? よく似ているので、勝手に同じだろうと理解していると入職してから思っていたのと違うという事になります。

完全週休2日制 1年を通じて毎週2日の休日が取得できることを指します。休日が1日しか取得できない週が1日でもあれば、完全週休二日制にはなりません。
週休2日制 2日休める週が月に1回以上あることを表します。最低でも1回あればいいため、2日休めるのは1週のみで、残り3週は休日が1日ということもありえます。

例えば、休診日は木曜日のみ、日曜日は診療をしている医院の場合、基本的には、木曜日と日曜日はお休みだけど、2週に1回もしくは3週に1回は日曜日に出勤という歯科医院はたまにあります。こういった場合は「週休2日制」となり、「完全週休2日制」ではなくなります。

ただ歯科医院の場合、もう一つ確認をした方が良いことがあります! それは祝日の扱いです。

歯科医院の場合は、基本的に「完全週休2日制」を取られているところが多いように思います。歯科医院で「完全週休2日制」と言われると、祝日の振替出勤があることになります。

例えば・・・木曜日・日曜日が休診日の歯科医院で月曜日が祝日だった場合、

「祝日のある週は、木曜日は診療します」  月(祝)+日 完全週休2日制
「祝日の振替出勤はありません」     月(祝)+木+日 週休2日制

 

日本には年間約16日の祝日があります。となると、「完全」がつくかつかないかで16日の差が出てきます。以前は多くの歯科医院が、「祝日のある週は、木曜日は診療します」というパターンを採用していましたが、最近では歯科医院でも「祝日の振替出勤はありません」というパターンを採用しているところが増えています。 という事はかなりチェックポイントかもしれません。。

 「週休2日制」というより「完全週休2日制」の方が一瞬良く聞こえるのですが、比較すると、どう見ても「週休2日制」の方がいいですよね。「完全週休2日制です」とはっきり言われる医院があります。「あれ?どっち?」とわからなくなった場合は、「祝日の振替出勤はありますか?」と質問してみるといいでしょう。

ちなみに、ハローワークでは以下のような記載の違いが決まっているようです。

「完全週休2日制(木・日・祝)」と記載されている場合 日+祝
「完全週休2日制(木・日)、祝日」と記載されている場合 木+日+祝

 

有給休暇の消化率は?

「年次有給休暇制度」とは

「年次有給休暇制度」とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、取得しても賃金が減額されない休暇のことです。

【年次有給休暇が付与される要件】

  1. 雇い入れの日から6か月経過していること。
  2. その期間の全労働日の8割以上出勤したこと。

この要件を満たした労働者は、10労働日の年次有給休暇が付与されます。また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、同様要件(最初の年次有給休暇が付与されてから1年間の全労働日の8割以上出したこと)を満たせば、11労働日の年次有給休暇が付与されます。

雇入れの日から起算した勤続期間 付与される休暇の日数
6か月 10労働日
1年6か月 11労働日
2年6か月 12労働日
3年6か月 14労働日
4年6か月 16労働日
5年6か月 18労働日
6年6か月以上 20労働日

求人票に、有給休暇に関して「法定通り」というような記載があれば、以上の日数が加算されていくはずです。中には「医院の規定あり」という場合もありますので、その時は確認するとよいでしょう。

有給休暇って本当にとれるの?

以前は歯科医院では有給休暇が取りにくいという雰囲気がありました。なぜ、有給休暇が取りにくいのかというと、一人休むと仕事をする手が減るからです。 という考え方で言うならば、一概には言えませんが、スタッフ数が多い歯科医院は比較的有給休暇について取りやすい環境なのかなと思われます。 逆に、院長一人とスタッフ数人の最小限で回しているところは、なかなか取りにくい状況かもしれません。しかし、現在は国が有給休暇の取得を義務としているため、「取らせない」という選択はありません。要するに有給休暇を気持ちよく取らせてもらえるのか、院長や周りのスタッフから圧力がかかるのかという問題だと思われます。これは大変質問しにくいところです。「有給休暇はありますか?」「有給休暇は取れますか?」と質問すると、当然「取れます」という答えが返ってくるはずです。「取れません」「有給休暇はありません」というのは違法になるため、こういう質問の仕方は意味がないという事になります。

私の経験から言うと、「有給休暇100%消化」など医院の方から敢えて求人票に記載している医院は、アピールポイントとして挙げているわけですから100%消化を医院が目指していると考えて間違いないでしょう。逆に言うと、そのことにあまり触れようとしていない場合は、もしかしたら取りにくい状況なのかもしれません。参考にして下さい。

旅行

「年次有給休暇の計画的付与制度」って何?

「年次有給休暇の計画的付与制度」とは、そもそも年次有給休暇とは、心身の疲労回復を目的として賃金の発生する休暇を与える制度のことですが、職場の環境によっては取得が難しく、十分に活用されていないという状況もあり、問題視されています。そこで、あらかじめ取得する日を決めておき、その指定の日に取得させる制度の事を「年次有給休暇の計画的付与制度」と言います。計画的付与の対象とできる日数は、保有日数に関係なく、5日を除く部分とされています。年次有給休暇のうち5日を超える分について、労使協定を結ぶことで計画的に休暇取得日を割り振ることができます。

要するに、ゴールデンウィーク・夏期休暇・年末年始の休暇に、その前後2日間を計画付与日として指定するなど、一定期間の休暇を取りやすいものとするために導入しています。 ただし労働者の個人的な理由で取得できる年休日を残しておく必要があり、計画的付与の対象となるのは年休のうち5日を超える部分とされています。 もし、入社6ヶ月未満で年休が付与されていないなど年休をもっていない方が計画的付与の対象となった場合には特別に有給休暇を与えるなどし、 不利にならないよう取り扱わなくてはいけないという規定があります。

歯科医院でもこの制度を取り入れているところが増えています。そのため例えば「有給休暇が10日あるから、年間10日は好きな時に休んでいいわ!」と思っていたら大きな勘違いだったという事になりますので、気をつけましょう。計画的付与をしていない歯科医院であれば例えば10日間の有給休暇を活用して長期海外旅行に行くこともできますが、計画的付与をしている歯科医院であれば5日しか自由に使えないため、海外旅行が趣味という方であれば大きな違いが出てきます。

「残業」と「スキルアップ」

最近では「残業ほぼなし!」というところが増えています。以前、衛生士さんたちの意見を聞いたところ、30分まで時間が延びるのは許せるそうです。 例えば、18時半までと聞いていたけれど、 19時くらいになってしまうというのは許容範囲だそうですが、18時半と聞いていたのに、 20時になってしまうというのは納得がいかないそうです。30分が許容範囲のラインのようですね。

また、「残業」はないけれど、スキルアップのためにみんなが居残りをするという歯科医院もあります。全員が練習のために残っているのに、 一人だけ帰りづらいというシチュエーションもあるでしょう。この辺りは、面接時に聞いておきたいところです。 しかし、「これから頑張ります」と言って面接を受けているのに、「休み」「終了時間」「残業」のことを聞くと、あなたの心象を悪くしてしまう可能性があります。

例えば、

「毎日スタッフの方は何時くらいに医院を出られていますか?」

「衛生士として自主的に練習したい場合は皆さんいつされていますか?」

と質問してみるのはどうでしょうか? そうすると、院長は、

「19時に終わって、19時15分にはみんな出てます」

「みんな夜は早く帰りたいからお昼の昼食後とかに練習しています」

「月に1回、外部から講師を招いて勉強会をしているので、この日は20時くらいの終了です」

など色々な答えが返ってくるでしょう。イメージダウンにならないような質問の仕方を考えましょう。

「週休3日制」でも違いがあります!

最近では「週休3日」という歯科医院も増えてきました。プライベートな時間も充実できるので魅力的な働き方といえます。ただ、「週休3日」でも違いがありますので要チェックです。

1日    8時間 週5日勤務(週休2日) 週40時間 (これが一般的)

1日  10時間   週4日勤務(週休3日) 週40時間

1日    8時間 週4日勤務(週休3日) 週32時間

9:00~20:00(休憩1時間)という勤務時間の歯科医院があります。この場合1日10時間になりますので、週4日勤務(週休3日)でも週40時間の労働という事になります。しかし、9:00~19:00(休憩2時間)という勤務時間の歯科医院で週休3日制を認めている歯科医院では、週32時間の労働になるためその分お給料が下がることはやむを得ないという事です。

「週休3日の医院を比べたら、お給料にかなりの差があるな~」と感じた方は、労働時間を確認してみて下さい。1日8時間しか診療していない歯科医院で、「週休3日にしたい!」 「月給はキープしたい!」というのは無理な相談だとご理解頂けましたか?

「固定休日」「シフト休日」の違い

一般的な会社の場合、土日が休みという場合が多いのですが、歯科医院の場合は「シフト休」になっているところも多くあります。月~土曜日まで診療をしていて休診日は日曜日だけという医院の場合、求人募集の休日欄は「日曜日+平日シフト1日」というような記載がされているところが多いと思います。診療はしているが、スタッフが交代で平日に1日休みを取るというスタイルです。

固定休日のメリット・デメリット

メリット ・・・ プライベートなスケジュールが立てやすい。

         規則正しく勤務ができるため体調面で安定感がある。

デメリット・・・ 休日以外に用事が出来た場合は有休を使って休むしかない。

シフト休日のメリット・デメリット

メリット ・・・ 休日以外に用事が出来た場合はシフト変更してもらえる。

デメリット・・・ プライベートなスケジュールが立てにくい。

上記のようなメリット・デメリットがありますが、「シフト」でも基本的にだいたい毎月同じ曜日が取れる場合と、その月によってバラバラのお休みになる場合とがあります。バラバラの場合は、シフトが出るまでスケジュールが立てられないという不自由さもありますし、習い事をしたいという方などは不便な場合もあるかもしれません。

まとめ

勝手に思い込んで入職したら違ったという事もよくあります。早期退職にならないためにしっかり確認して入職したいものです。しかし、入職前に「休み」のことや「残業」のことは聞きにくいものです。イメージダウンにならないように質問の仕方を考えて、少しでも多くの情報をゲットするように致しましょう。

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